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口絵 ドイツ装甲師団戦車長 上田信
[感想]
これはアドテクノスの『ドイツ装甲師団長』のボックスアートではないか!!
カッコいい!!
電撃の序曲ー新生ドイツ装甲師団ー 上田信(原作/おちあい熊一)
ドイツの第一次世界大戦での敗北から始まりラッパロ条約によるソ連での秘密訓練、ヒトラー政権下での再軍備宣言、スペイン内戦で得た戦訓、チェコスロバキア併合。
p.25によると、下記のような兵力だったようだ。ドイツ軍は110個師団のうち59個師団がポーランド戦に参加し、残りは西方の守備と総司令部予備だった。
ポーランド軍ードイツ軍
現役歩兵師団 30個ー44個
軽機械化師団 0個ー4個
自動車化師団 0個ー4個
予備歩兵師団 9個ー記載なし
現役騎兵旅団 11個ー記載なし
機甲旅団 2個ー装甲師団6個
航空機 約900機ー約2000機
戦車・装甲車 約600両ー約3200両
ドイツ軍の内訳は、Ⅰ号戦車1445両 Ⅱ号戦車1226両 Ⅲ号戦車98両 Ⅳ号戦車215両だった。
現役兵力 37万人ー記載なし
予備兵力 250万人ー記載なし
ポーランド軍の精鋭 ポモルスカ騎兵旅団が突撃した状況やポーランド軍TKSの20mm砲にドイツ軍戦車が苦戦した状況を描いている。
[感想]
上田信氏はイラストレーターだと思っていたが、漫画も描くのだ、と驚いた。
戦況図や戦車のイラストも豊富でわかりやすい。
戦車コラム1 戦車の集団機動戦術 橋本純
「電撃戦」に不可欠だったのが無線通信だった。
[感想]
「電撃戦」がドイツ装甲師団のドクトリンになかったが、第二次世界大戦緒戦におけるドイツ軍戦車の優位性は明らかに無線機だったと思う。
戦車からの限られた視界で、どっちに向かいどの敵を射撃するかなどの指示を手旗で指示を出すのと無線で命令するのでは大違いだろう。
突撃の牙 ロンメル第7装甲師団 今道英治
フランス電撃戦でのロンメル第7装甲師団の活躍を描いた漫画だ。
装甲師団の進撃が速すぎるとして、総統からのストップがかかった。
ロンメルは第25戦車連隊、歩兵2個連隊、本隊を後方に配置して慎重に前進する。アラスに入ったところで、フランス軍が重戦車(マチルダやソミュアS35)を先頭に反撃してきた。ドイツ軍の37mm対戦車砲は跳ね返される。ドイツ軍のⅣ号戦車の砲弾も跳ね返され、ドイツ軍は2日前の地点まで後退した。
ロンメルの命令で88mm高射砲を水平射撃して連合軍戦車を撃破した。
[感想]
88mm高射砲の水平射撃がロンメルの命令だったというのは史実ではないらしいが、この漫画ではロンメルの指示としている。
迫力あってわかりやすくていい絵だ。と思ったら、今道英治氏はアオシマの模型デザインや幼年誌のイラストやカットを多数描いた人のようだ。だからわかりやすくて迫力あるいい絵を描くのだと納得だ。
砂漠の狐たち ドイツ・アフリカ軍団の激闘 たがみよしひさ
砂漠のど真ん中で故障し立ち往生になり無線機も故障したⅢ号戦車に乗ったハウザー少尉、フリッツ、マルティン、ホルストらは、なんとか動けるようにして、トゥブルクに向かう。
途中、敵戦車と戦い、4両を撃破する。残った1両と対峙し絶体絶命の時、グラント戦車が敵戦車を破壊する。シュミット・フーバー少尉が鹵獲した戦車だった。
[感想]
たがみよしひさ氏と言えば、『軽井沢シンドローム』だろう。彼が戦争漫画を描いていたとは知らなかった。戦車の絵が迫力あり戦車兵も個性があってなかなかいい。
戦車コラム2 戦車兵の職種と役割 橋本純
[感想]
このコラムを読んでから、たがみよしひさ氏の漫画を読むとまた一段と興味が湧く。
熱砂の棘 ガザラ・ボックスの死闘 木村孝
1942年6月1日、ドイツ・アフリカ軍団が英軍第150旅団に対して総攻撃を開始した。
補給切れで苦しい状況だった。
戦車長クロウ少尉、操縦手ハルダー軍曹、無線手ディレイ伍長、砲手フーデル伍長、装填手ハックル上等兵の乗るⅣ号戦車も戦いに参加し、見事に勝利する。
[感想]
K2P『ドイツ装甲軍団1』(ガザラの戦い)を漫画化したものだ。この漫画を読むとゲームのプレイがまた面白くなる。
haruichiban0707.hatenablog.com
ガザラ・ボックスの戦いをうまく描いている。グラント戦車との1対1の対決は迫力がある。
ハリコフの疾風(かぜ) 最後の戦術的大勝利 松田大秀 原作/おちあい熊一
1943年1月31日、スターリングラードのドイツ軍が降伏した。
ソ連軍が怒濤の進撃をする。ソ連軍の指揮官グロモフが味方を鼓舞する。そこにイリーナという女性兵士がヒトラーがサポロジェにいる、という情報を伝える。ソ連軍がサポロジェに突進する。
砲声を聞いたヒトラーは死守とハリコフ奪回命令を撤回しマンシュタインの作戦を支持する。
前進しすぎたソ連軍にドイツ軍が激しい反撃をする。
最期の夜、グロモフはイリーナと抱き合い、敗北の責任をとって、翌日最期の突撃をする。
ドイツ軍はマンシュタインの"後手からの一撃(バックハンドブロウ)"によって、ハリコフを奪回する。
[感想]
K2P『ドイツ戦車軍団』(ハリコフ攻防戦)を漫画化したものだ!!この漫画を読むとゲームのプレイがまた面白くなる。
haruichiban0707.hatenablog.com
戦車コラム3 戦車の内部、天国か地獄か!? 橋本純
[感想]
第二次世界大戦時の戦車の内部は熱くて寒くて煙が充満して泥濘では動けず乗り心地は最悪だったろう。その感覚を今は味わうことはできない。今は視覚と聴覚だけしか伝達できないからだ。今後、技術が発展することで、温度や匂いなども伝達できるようになって、戦車内の味わうことができるようになると面白い。
ヘルマン・ビックス戦記 『バルバロッサ作戦』番外編 小林源文
1941年6月22日、バルバロッサ作戦が始まった。ヘルマン・ビックスが率いるⅢ号戦車の12月までの戦いを描いている。
[感想]
p.176にある戦車小隊、中隊、大隊のパンツァーカイルの図が戦術級ウォーゲームをプレイするときの参考になる。
信号弾を使用してのコミュニケーションも興味深い。
[全体感想]
ドイツ軍戦車が登場する戦術級ゲームや、ドイツ装甲師団が登場する作戦級ゲームをプレイするときに座右に置いておきたい一冊だ!!