国際通信社のコマンド・タクティカル・コンバットシリーズ『決戦連合艦隊』をプレイしてみた。初心者向けの海上砲雷撃戦ゲームだ。
ゲーム・デザインは、黒田幸弘氏。ん!?レック・カンパニーの黒田氏?ルール・ブックの後ろのコピー・ライトには、「1986 REC Co.,Ltd.」の文字がある。 調べてみると、エポックの『シミュレーション・ゲーム入門2』の一作だったようだ。
ゲーム・スケールは、1ヘクスの対辺距離は0.5海里(926m)。1ターン5分。ユニット1個が1隻の艦艇である。1移動力は約11km/h、約5.9ノットに相当する。直径1ヘクスの円で回頭できるが、このスケールなら、まぁ、いいだろう。
ゲーム手順は、次のとおり。
1 イニシアチブ決定フェイズ
2 先行移動フェイズ
3 第一砲撃フェイズ
4 雷撃フェイズ
5 後攻移動フェイズ
6 第二砲撃フェイズ
7 修理フェイズ
雷撃は、先行プレイヤーのみ行える。
このジャンルのゲームは、個艦の要目にこだわったり、移動や損害を記入するためプレイアビリティーが落ちたりする。
しかし、このゲームでは、記入項目は損傷だけと最低限で、砲撃も雷撃もそれぞれ二個のチャートと二回のサイコロで解決している。最初に命中数決定のサイコロを振り次に損害決定のサイコロを振る。命中数決定は、距離により命中数が変わってくる。損害決定は攻撃力と防御力の戦力比だ。砲撃戦では駆逐艦は戦艦にはとてもかなわない。
ゾロ目が出ると致命的損傷も発生する。
最初は試しに戦艦3隻同士で戦ってみた。
ボードは夜の海っぽくていい色だ。
レーダーか視認するまでは相手を発見するまでは裏返して、直進するだけだ。裏返すと大きい艦か小さい艦かしかわからない。この不気味さがなかなかいい。
発見するといよいよ砲撃戦だが、なかなか相手に損害を与えられない。
表面にするのは発砲したときだ。
どんどん近づき、隣接しての砲撃戦。さすがにこうなると損傷も出てくる。陸奥は火災が発生した。
大和の砲撃力はさすがだ。しかし砲撃だけだと上部構造物への被害だけでなかなか沈まない。
なんとか1隻沈めたが、戦艦同士の砲撃戦はなかなか沈めるのは大変だ。
次はサボ島沖海戦シナリオをやってみた。
視界は6ヘクス。米軍はレーダーがあるので有利だが遠距離だと当たらない。結局、6ヘクス以内でドンパチ殴り合いだ。
駆逐艦は戦艦と違って一発でも当たると砲雷撃不能な損害を受ける。先手を取ったのは米軍だったが、致命的損傷を多数与えた日本軍が1隻も失わずに、米軍8隻沈めて完勝した。
キャンペーン・シナリオは、どの艦艇が登場するかわからないので、フォグ・オブ・ウォー(戦場の霧)がうまくシミュレートされている。
本当は砲弾や魚雷は撃った後、命中するまで時間がかかるが、そこはゲーム・スケールが1ターン5分だから省略してても問題ない。装甲の厚さと砲弾や魚雷の破壊力の違いは、戦力比で簡易化。照明弾も省略。日本軍駆逐艦の次発装填装置や酸素魚雷の長射程はルール化してほしかった。
初心者向けとはいえ、なかなかうまく夜戦をシミュレートした傑作ゲームだと思う。