Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

シミュレーションゲームマガジン タクテクス TACTICS 第9号(1983/5/1)

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TACTICS 第9号 表紙



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TACTICS 第9号 もくじ


TACTICS第9号(1983/5/1)を読んでみた。表紙は、ホビー・ジャパン版『空戦マッハの戦い』(Air War)のボックス・アート。特集は「近未来戦ゲーム」。付録ゲームは『SAVOIVAL!』。

もくじは以下のとおり。

 「近未来戦ゲーム」の特集だが、今となってはすべて過去のことだ。幸いにしてどのシナリオも外れて、米ソの冷戦は終結し、中東ではそれほど大戦争にはならなかった。

この6年後に、ベルリンの壁が崩れソ連が崩壊するとは夢にも思わなかった。未来予測がいかに難しいかよくわかる。

 この頃は冷戦真っ盛りで、いつ第三次世界大戦や全面核戦争が起こってもおかしくない緊張感があった。私は「近未来戦ゲーム」は、『空戦マッハの戦い』(Air War)以外は手を出さなかったのは、現実的で生々しくゲームで遊んでいられなかったからだと思う。

 

 大泉東氏の「近未来戦ゲームとは何か」は、近未来戦ゲームの最大の弱点が「耐用年数が短いこと」をあげている。確かに3年後の未来を扱ったゲームの場合、発売後4年経過したら「過去」になってしまう。かといって10年20年後の未来となると「近未来戦」ではなく、半分SFになってしまう。商業的に難しいテーマであることに納得できる。

 

 佐藤弘明氏によりフォークランド紛争のゲームが3個紹介されていた。その中にLightfoot Games社の『FALKLAND or MARVINAS』は、世論/政治情勢カードによって、ターンが動くという面白いシステムがある。現実世界はいつ終わるかわからないので、最終ターンが決まっているシミュレーション・ゲームというのは現実を正確にシミュレートしていない。そのため、ターンが動くシステムというのはなかなかいいシステムだと思う。ただ、このゲームのターンが動くのは、最終ターンが動くのではなく、現在が3ターン戻ったり2ターン進んだりするらしい。それは奇妙なことだと思う。せめて最終ターンが2ターン延長したり、3ターン短縮するのでないと非現実的なことだ。

 

 桜井真一氏の「Air War ーそのシステムへの招待ー」という記事は、同ゲームのルールをとてもわかりやすく解説している。このゲームは大昔ずいぶんやったが、やり方をだいぶ思い出せた。

 

 高梨俊一氏の「宇宙をたずねてみませんか?ーロール・プレイング・ゲーム"トラベラー”の世界ー」を読んで、当時、ロール・プレイング・ゲームがどういうものか学んだものだ。実際にやることはなかったが、やっていたらはまっていたかもしれない。地図や宇宙史が載っていて背景がよくわかった。

 その後、『トラベラー』(Traveler)がどうなったかと思ったら、GDWから別な出版社に移り変わっているが現在まで続いているようで、なんだか安心した。

 ツクダ・ホビーのファンタジー小説の連載、付録ゲームの『SAVOIVAL!』など、この号を読むと、この頃、日本にロール・プレイング・ゲームが入り始めて、ホビー・ジャパンが普及活動に力を入れていることがよく伝わってくる。

 ちなみに『SAVOIVAL!』は、「アイアン・ボトム・サウンド ミニゲーム」となっているが、同ゲームに付属するサボ島のマップを使ったサバイバル・ロール・プレイング・ゲーム。サバイバルとサボ島のダジャレであり、ガダルカナル島周辺の夜戦は全く関係ない。

 

 内外ゲームガイドでは、『G.I.:勝利への礎』(G.I. Anvil of Victory)や『太平洋艦隊』が並んでいる。前者は13,000円もしたので当時買うのをあきらめたが、『戦闘指揮官』(Squad Leader)シリーズの根幹ルールである歩兵や機関銃を刷新したようだ。そうなると混沌としてAdvanced Squad Leaderに進化するわけだ。後者は購入して何度かプレイしたお気に入りのゲームの一つだった。あまりプレイ時間が長時間になるビッグ・ゲームは買わない私だが、これはお気に入りだった。また機会があればやってみたい。

 

 連載ものの「大陸軍その光と影」は、アウステルリッツの戦い。SPI社のゲームのマップとユニットの写真を使って戦況を説明しており、わかりやすい。「太平洋の水上戦」も『戦史叢書』の図ではなく、『IJN』や『アイアン・ボトム・サウンド』のユニットを使った写真にしてくれるとよかった。