『タクテクス』(TACTICS)第65号(1989/4/1)を読んでみた。
特集は「めくるめくカードゲームの世界」
付録ゲームは<HJ>の『バルバロッサの場合』
表紙は、カードゲーム。
目次は次の通り
p.4 カードゲーム万歳!
カードゲームの歴史と紹介。カード・ウォー・ゲームもずいぶんとあるものだと思った。その他、パーティ&ファミリーカードゲームも紹介されている。
ボード・ウォー・ゲームの記事が減ったことでその人気低下の状況がよくわかる。
p.32 GAME REVIEW D・DAYーノルマンジー上陸作戦ー
翔企画のSSシリーズの第3弾だ。簡単なルールで雰囲気を追体験できる好ゲームだ。
後に『コマンドマガジン』第46号(2002/08/20)で再版された。
本ブログでもご紹介している。
haruichiban0707.hatenablog.com
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p.48 ゲーム千一夜 第1回ウォーゲーム前史 和久尊
ウォーゲームの歴史を書いた新連載記事。
プロイセンのクリークシュピールをライスヴィッツ・ジュニア氏が作成したが、理解されず、自殺してしまった、というのは悲しい歴史だ。しかし、あのモルトケが評価した、という話は興味深い。
今後が楽しみな連載だ。
p.74 戦国時代の戦略と戦術 軍事的に見た戦国史 第11回桶狭間の合戦(4) 福田誠
いよいよ桶狭間合戦直前の今川軍織田軍の動向の説明に入る。
推定時刻とはいえ、両軍の動向をまとめていてわかりやすい。
地図や進撃方向も描かれていてわかりやすい。
p.76 現代海戦術入門 水上打撃戦 瀬戸利春
対艦ミサイルについての解説だ。図が豊富でわかりやすい。
p.80 新書英雄伝 第10回「3つの問い」:エパミノンダス伝(特別編) 有坂純
世界史の教科書では、「ペルシア戦争後、アテネが覇権を握り、ペロポネソス戦争後、スパルタが覇権を握り、その後テーベが覇権を握ったが、ポリス同士の戦いが激しくなりギリシャは衰え、マケドニアのアレクサンドロス大王が・・・・」と簡潔に習った。その数行の文章にも、多数の人間とその家族達のドラマがあったはずだ。
エパミノンダスとペロピダスの友情の話が今回紹介されるが、感動的でいい話だと思った。
p.84 第二次欧州大戦概説史 第三回 戸島毅
ドイツによるチェコスロバキア併合、ポーランド侵攻直前の高まる緊張状態を描いている。ハンガリー、チェコ、スロバキア、ポーランドそれぞれの思惑、それらを利用するドイツ、イギリス、フランス、ソ連。欧州の状況は奇々怪々だ。世界史の教科書では淡々と「政権を取ったヒトラーのドイツは、チェコスロバキアを併合し、ポーランドに侵攻した。」と習うが、その裏では、ハンガリーやポーランドも絡んで複雑な動きがあったことに今さらながら驚く。
p.88 古今東西珍本閑談 その7 機械化兵器読本 黒澤慶助
1940年8月発行の吉田豊彦『機械化兵器読本』の本の紹介。
「日本軍の戦車は弱かった。」「日本軍は精神主義を重視し機械化の考えがなかった」というのが一般的な見方だ。しかし、結果的には日本軍は優秀な戦車を作れなかったし、機械化できなかったから、歩兵による肉弾戦法に頼らざるを得なかったのは、事実だが、決して、「考えがなかった」わけではない。日中戦争で戦費を使っていたため、金の面でできなかった、優秀な自動車用エンジンや装甲を作れなかった、大量生産でする技術がなかったため、実現できなかったのだ。
最後のページに「近代戦は火薬の爆発力とガソリンの爆発力によって決する」という一文が、「わかってはいるが、実現できないんだよ。」という悔しさのにじみ出た一文だ。
p.89 リーダーズコミュニケーション
『タクテクス』第63号で、戸島毅氏が「ゲルニカ爆撃が無差別戦略爆撃ではなく、戦術爆撃だった」という主旨の記事を書いていたが、反論が来るだろうな、と予想していたら、予想通り、読者から反論が来た。それに対して戸島毅氏からの反論記事。
この頃はまだ大東亜戦争に参加した人、本土空襲で被災した人が多数生きていた時代だから、議論が熱い。ウォーゲームをゲームや歴史として見るより、今まさに経験していることとして見る人達が多かったのだと思う。
ゲームクラブの紹介には横浜シミュレーションゲーム協会(YSGA)のイラスト付きハガキが載っている。これはもしかして、こちらのYSGAと同じだろうか?もしそうだとするとよく続いているなぁ。
p.104 "エア・スペリオリティー"と地上攻撃 敵SAM陣地に地獄を見た! 桜井真一
近現代戦による対地攻撃とゲームにおける対地攻撃とリプレイ記事だ。
実際のマップを使い、三次元移動を矢印に色を付けて表現しており、わかりやすい。
ますます『エア・スペリオリティー』(Air Superiority)がほしくなってきた。