Haruichibanのウォーゲームのおと

80年代にシミュレーションゲームにはまったが長い冬眠に入り、コロナ禍やライフイベントの変化により、再開した出戻りヘッポコウォーゲーマーのノート。

第1ターンでドイツ軍が勝利するための最適解は? HJ『ベーシック3』(バルジ大作戦)(BULGE The Battle for the Ardennes 16 Dec. '44-2 Jan. '45)作戦研究


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ホビージャパン『ベーシック3』(バルジ大作戦)(BULGE The Battle for the Ardennes 16 Dec. '44-2 Jan. '45)は、各ターンで両軍ともある一定のポイントを得るとサドンデス勝利できる。

第1ターンの場合、ドイツ軍の勝利ポイントー連合軍の勝利ポイントが12点以上だと、ドイツ軍の勝利。2点以下だと連合軍の勝利だ。

ポイントは除去した敵ユニット1戦闘力につき1勝利ポイントだ。それに加えて、補給下にあるドイツ軍ユニットが地図盤外に突破することで、突破した道路に記載してある倍数と突破したユニットの戦闘力のかけ算したポイントをドイツ軍が得ることができる。

 

今回は、ドイツ軍が第1ターンに勝利するためにはどんな作戦をとるといいか、その時の確率がどのくらいか、研究してみた。

目次

      1. ■初期配置
      2. ■第1ターン(1944/12/16)

■初期配置

初期配置は決まっている。


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■第1ターン(1944/12/16)

曇天

●ドイツ軍移動前戦闘フェイズ

第1ターン(1944/12/16)はドイツ軍による奇襲効果で右へ2列ずれる。移送前戦闘フェイズは、戦闘が任意(メイ・アタック)である。しかし、奇襲効果があるので、戦闘差がドイツ軍にとって有利なら戦闘するべきだろう。

 

北から見て、戦闘差がいくつか見ていく。下の表では米軍ヘクスを隣接している独軍が最大の攻撃を敢行した場合を示している。そのため、2個以上の米軍を攻撃できる独軍ユニットもある。(例:0304と0403の米軍を攻撃できる0303の独軍ユニット)


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米軍ヘクス 独軍ヘクス 独軍戦闘力

米軍戦闘力

ユニット+地形修正=合計

戦闘差 奇襲効果戦闘差 De確率(%) Dr確率(%)
0105 0104 1 1+4=5 -4 -2 0 17
0304

0203

0303

4 4+3=7 -3 -1 0 17
0403

0303

0402

4 3+3=6 -2 0 0 33
0503

0402

0502

0602

7 1+2=3 +4

+7

+8

17 33
0804

0803

2 3+1=4 -2

0

0 33
1005

1004

4 1+2=3 +1

+3

0 33
1307

1206

1306

8 1+(2+3)=6 +2

+4

0 50
1506

1405

1505

6 1+(1+3+3)=8 -2

0

0 33
1804

1704

2 2+(2+2+3)=9 -7

-3

-2

0 0
1802

1702

2 4+(2+3+3)=12 -10

-5

-4

0 0

 

こうしてみると、移動前戦闘フェイズで米軍ユニットを除去する確率は非常に低く、0503の第14偵察連隊だけだということがわかる。ここは1/6の確率だがDeの可能性があるので攻撃するべきだろう。

 

戦闘差0でも17%(1/6)の確率でAeの可能性があるので、独軍としては、リスクを考えると攻撃するのは恐い。

 

それでも、第1ターンに独軍が12点を獲得するために、そのリスクをとってでも攻撃する必要があるのは、0804と1506(Vianden)だろう。

しかし1506(Vianden)は町のため仮にDrが出ても退却するかどうか米軍が選択でき、おそらく退却しないだろう。

 

ここでは、独軍にとって最善の結果が出たものとする。

すなわち、0503でダイスの目が1でDeとなった。独軍は次の移動フェイズに第1SS装甲師団を移動させ接敵させるために戦闘後前進はしない。

 

0804ではダイスの目が1または2でDrとなったとする。米軍第106歩兵師団は0805に退却する。独軍は移動フェイズの接敵を考えて戦闘後前進をしない。

 

1005ではダイスの目が2または3でDrとなったとする。米軍第112歩兵師団は0906に退却する。独軍はここでも移動フェイズを考慮して戦闘後前進しない。

 

1307で米軍第110歩兵師団が退却するとしたら1308(Clervaux)だろう。そうすると町のため防御力が+8となってしまうし、Exの可能性が17%(1/6)あり、Exが出ると米軍戦力1に対して独軍戦力4と不利なのでここは攻撃しない。


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●ドイツ軍移動フェイズ

0401にいる第1SS装甲師団が0503へ移動する。
0502にいる第3降下猟兵師団が0604へ移動する。

0602の第18国民擲弾兵師団は0705へ移動する。

1104の第116装甲師団が0904へ移動する。

1106の第560国民擲弾兵師団が1207へ移動する。

0803の第62国民擲弾兵師団が0905へ、1205の装甲教導師団が1005へ移動し0906の米軍第112歩兵連隊を攻撃する。

ドイツ軍降下猟兵ハイテ(Heydte)ユニットが0807に降下したとする。これで米軍第106歩兵師団と第112歩兵連隊は退却不能だ。

 

0202にいる第12SS装甲師団と0601にいるSkrzny装甲旅団は、どこに移動しても接敵できないので、ここでは移動させないこととする。


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●ドイツ軍移動後戦闘フェイズ

移動後戦闘フェイズは隣接している敵への攻撃が義務となるマストアタックだ。

戦闘差がマイナスのヘクスについては第2戦闘結果表を使ってリスクを下げるべきだろう。

米軍ヘクス 独軍ヘクス 独軍戦闘力

米軍戦闘力

ユニット+地形修正=合計

戦闘差 奇襲効果戦闘差 De確率(%) Dr確率(%)
0105 0104 1 1+4=5 -4 -3 0 0
0304

0203

0303

4 4+3=7 -3 -2 0 17
0403

0303

0402

0503

11 3+3=6 +5 +7 17 33
0805

0705

0804

6 3+1=4 +2

+3

33 0
0906

0905

1005

6 1+2=3 +3

+4

0 50
1307

1207

1206

1307

10 1+2=3

+7

+8

+9

+10

+11

33 33
1506

1405

1505

6 1+(1+3+3)=8 -2

-1

0 33
1804

1704

2 2+(2+2+3)=9 -7

-5

-4

0 0
1802

1702

2 4+(2+3+3)=12 -10

-7

-6

0 0

上の表で戦闘差がマイナスの所はCtだったとする。

ピンク色のヘクスで独軍にとって最適なダイスの目が出たとする。

すなわち、0403でダイスの目が1でDe(17%)。0805でダイスの目が2または3で退却不能で除去された(33%)。0906でダイスの目が2,3,4のいずれかで退却不能で除去された(50%)。1307でダイスの目が1または2で除去された(33%)。

 

独軍は第12国民擲弾兵師団が0403へ、第116装甲師団が0805へ、教導装甲師団が0906へ、第2装甲師団が1307へ、それぞれ戦闘後前進した。


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米軍は12ユニット中、5ユニット、9戦力を失った。

ドイツ軍は0ユニット、0戦力の損失だ。

第1ターンに、米軍があと3戦力以上失うとドイツ軍のサドンデス勝利だ。

 

●連合軍移動前戦闘フェイズ

米軍は接敵している部隊を攻撃すると全てマイナスの戦闘差となる。Arが出てうまく後退できるといいが、第1戦闘結果表を使うと戦闘差0以下で、第2戦闘結果表を使うと戦闘差-2以下でAeが出てユニットが除去されるリスクがある。

このゲームの場合、攻守どちらも戦闘後前進できるので、連合軍が仮にArを望み通り出したとしても独軍が戦闘後前進して接敵してくる可能性が高い。

そのためこのフェイズに連合軍が攻撃を仕掛けることはないだろう。

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上の写真で1702については-3としているが、正しくは-5だ。

 

●連合軍移動フェイズ

 

連合軍は移動可能ユニットがわずか2ユニットだけだ。

第9機甲師団R戦闘団(9RR)は0710へ、第9機甲師団戦闘団(9BR)は0306へ移動する。

水色のマーカーを置いたヘクスにある橋に渡橋妨害をかけて独軍による地図盤突破を防ぐ。


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●連合軍移動後戦闘フェイズ

 

独軍ヘクス 米軍ヘクス 米軍戦闘力

独軍戦闘力

ユニット+地形修正=合計

戦闘差 Ae確率(%) Ar確率(%)
0104 0105 1 1+(2+3)=6 -5 17 33
0203

0304

4 2+(2+3)=7

-3

-2

17 17
0303

0304

4 2+(1+3)=6

-3

-2

17 17
0403

0304

4 2+(1+3)=6

-3

-2

17 17
1506

1505

1 2+(2+3+3)=10 -9 33 33
1704

1804

2 2+(2+3+3)=8

-7

-6

17 50
1702

1802

4 2+(1+3+3)=9

-5

-4

17 33

0104でAeが出る確率は戦力1で17%だ。

0203または0303または0403でAeが出る確率は戦力4で17%だ。

1506でAeが出る確率は戦力1で33%だ。

1704でAeが出る確率は戦力2で17%だ。

1702でAeが出る確率は戦力4で17%だ。

 

期待値は(1x0.17)+(4x0.17)+(1x0.33)+(2x0.17)+(4x0.17)=2.2だ。

0304の第2歩兵師団、1802の第4歩兵師団がAeを出すと、それで連合軍の損害は9+4=13戦力となり、独軍のサドンデス勝利となる。

 

あるいは、1506の第109歩兵連隊または第102機甲騎兵連隊と、第9機甲師団A戦闘団(9AR)がAeを出すと、連合軍の損害は9+3=12戦力となり、独軍のサドンデス勝利となる。

 

非常に低い確率ではあるが、ドイツ軍が第1ターンにサドンデス勝利する可能性はあることがわかった。

 

接敵できない第12SS装甲師団とSkrzny装甲旅団をどこに動かすかはあるが、ドイツ軍の第1ターンはこの手が最適解だと思う。